COLUMN 住まいのコラム
健康で快適をめざすHEAT20とモコハウス
皆さん、こんにちは。
モコハウスは、兵庫県・大阪府を中心に、高気密・高断熱住宅の注文住宅に取り組んで30年以上、本当に快適な住まいをご提供することが使命と考える建築会社です。
モコハウスからみたHEAT20が目指すこと
このコラムに訪れていただいた皆さんであれば、HEAT20という言葉を何度も聞かれているのではないでしょうか。
現在、日本の新しい断熱基準の指標とされるほどの立ち位置になっていますので、これから、益々、HEAT20の住まいに対する考え方が浸透していくのものと期待しているところです。
モコハウスか捉えるHEAT20の取り組みの重要ポイントは、「住宅の心地さの質」を追求していることです。
もちろん省エネ性もひとつのポイントになっていることは、言うまでもありません。
上記のことを象徴する表現として、HEAT20の設計ガイドライン21では、以下のように表現されています。
「断熱性が高いから暖かくて、断熱性が低いから寒いといわれますが、でも、暖房をガンガンすると暖かくなります。でも暖房をガンガンすることでできた温熱環境は、断熱性が高くて小さな暖房で得た心地よさとは「質」が違います。」
断熱気密性能を追求する建築会社の方々は同様だと思いますが、モコハウスが最も大切にしていることを的確に表現されており、感動した次第です。
ここでいう「質」の違いを生む大きな要因は、室内の空気温度と床や壁そして天井(屋根)の表面温度の夫々の温度差が小さくなることによって生まれる温熱環境が、心地よい体感温度になるということです。
この表現の意味合いは、実際に体感いただけばご理解いただけると思います。
では本題に入るとしまして、ここでは「心地よさの質」を実現するための大きな指標とされている外皮熱還流率(Ua値)の点で、HEAT20が示す基準と比較しながら、モコハウスがこれまで実現してきた基準をご紹介したいと思います。
まず、外皮熱還流率(Ua値)とは何のこと?
読者の皆さまは既にご存じかもしえませんが、一応、簡単にご紹介だけさせていただきます。
Ua値とは、建物から逃げ出す熱量(熱損失量)のことを表します。
そのため数値が小さいほど断熱性能が優れていることになります。
また外皮とは、熱の出入りしに対して抵抗する部位、基礎や床、壁、窓や玄関、屋根のことで、窓や玄関などの開口部以外は、主に断熱材を施した部分といえます。
そこで、これらの部位を断熱性能の高いものでつくれば、単純に、Ua値が優れた建物になるということです。
単位は、「W/㎡・K」です。
外皮からのすべての熱損失量を外皮の総面積で除したものとなります。
断熱性能を表す数値としてUa値が採用されている大きな理由は、外皮面積が大きいと熱の損失量も大きくなり、逆に外皮面積が小さいと熱の損失量が小さくなり、公平感があり、外皮部分の性能を単純に比較し易いという特徴があります。
余談ですが、Ua値を採用する以前は熱損損失係数(Q値)を採用していました。
こちらは熱損失量を外皮面積ではなく床面積で除して求めるもので、また換気による熱損失量も含めて計算するものでした。
床面積で除す方法では、大きな吹き抜けがあったり、またコンパクトな建物では、計算上、分子が小さくなり過ぎて、吹き抜けのない、またコンパクトではない建物との単純な比較が難しく、また換気による熱損失も同様で、採用するシステムにより熱損失量がことなることから、建物どうしの基本的な性能値の比較という視点では不平等感があり、外皮性能に特化したUa値に変更されたというものです。
👉参考:モコハウスは、エアコンの必要な熱容量を計算する際に、Q値を現在でも採用しています。
HEAT20のUa値基準とモコハウスが達成している基準
HEAT20のUa値の基準は、グレード1(G1)、グレード2(G2)、グレード3(G3)の3種類があります。数字が大きくなるほど断熱性能に優れているというものです。またグレード毎に、省エネ基準地域区分(以下、地域区分)に従って基準値の設定があります。
今回のHEAT20とモコハウスの実績比較は、最高グレードのG3の基準を基に、過去のモコハウスの実績をご紹介したいと思います。
まず、地域区分6と7エリア(凡そ、東京より以西の山間部などの寒冷地を除くエリア)のHEAT20のUa値は、0.26W/㎡・Kです。現在の日本の次世代省エネ基準(H28)では、0.87W/㎡・Kですから、この基準の凄さを感じていただけるのではないでしょうか。
👉モコハウスの実績
平均0.25W/㎡・K(令和3年度、外壁がダブル断熱の場合)ですから、既にG3レベル(地域区分6,7)が標準的なレベルになっています。
次に、地域区分4と5エリア(主に東北エリア)のHEAT20のUa値は、0.23W/㎡・Kです。東京以西のエリアよりも寒さが厳しいエリアですから、当然、より厳しくなります。
👉モコハウスの実績
現在のモデルハウス(兵庫県川西市、多田モデルハウス)がUa値0.22W/㎡・Kです。
このレベルでも、窓と基礎断熱の選択によりコントロールが可能な範囲となります。
最後に、地域区分1,2と3エリア(東北の山間部と北海道エリア)のHEAR20のUa値は、0.20W/㎡・Kです。相当に高いレベルです。
このレベルになると、建物の規模や断熱の仕様、そして窓の開口部比率(小さい程、有利)など、少しの違いで0.01W/㎡・K単位で数値が簡単に変動する次元、という感じです。
👉モコハウスの実績
Ua値0.20W/㎡・Kの実例が1棟あります。
こちらの建物は、上記のUa値0.22W/㎡・Kの多田モデルハウスと同じ断熱仕様ですが、窓などの開口部比率の違いにより0.02W/㎡・Kの違いができています。
以上になります。
最後に、数値面だけを考えると、Ua値を0.1台にすることはそれほど難しいことではありません。
ただ、断熱層の厚みが増すことによる居住性、窓の大きさと配置のバランス、建築コスト面の社会的な位置付けなどの検討を重ねる必要はある次元だと思います。
多方面から検討を重ね、より心地よい「質」をご縁のある皆さま方全ての方々にご提供できるよう、日々、検証を心がけて参ります。
今回も、最後までお読みいただき有難うございます。