COLUMN 住まいのコラム
HEAT20の立ち位置について
皆さん、こんにちは。
モコハウスは、兵庫県(本社は川西市)と大阪府を中心として、日本一快適な住まいづくりを目指す、という大きな目標をもつ建築会社です。
今回は、HEAT20(敬称略)についての簡単な所見になります。
細かい指標などは沢山の住宅関係業者様が掲載されていますので、弊社からみたHEAT20の位置付けのコラムになります。
HEAT20とはどのような団体なの?
HEAT20(敬称略)とは略称で、現在の正式名称は「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」です。2009年に、地方独立行政法人の北海道立総合研究機構の理事:鈴木大隆さんが中心となって2年間程の構想期間を経て、設立されたそうです。
国の基準が省エネ方向に傾倒する中、HEAT20では、住宅環境の質(体感温度による快適性)に主眼を置かれています。
会員(敬称略)には、断熱材、ガラスを製造販売するメーカーや不動産業者、住宅会社、プレハブ協会、最近ユーチューブで有名になっておられる法人などが会員登録されています。
年会費は、会社の規模等や住宅会社であれば年間の建築戸数などによって50間年~5万円という設定がされています。
建築業界では有名な大学の先生方が理事長や理事を務めておられ、HPやユーチューブなどを拝見する限りでは、住まいの快適性や断熱性に関する実験や検証を重ね、まじめに取り組んでおられる団体だと思います。
ちなみに、設立の目的として、HP上には以下の内容が掲載されています。
「当法人は、低環境負荷・安心安全・高品質な住宅・建築(以下、住宅等と称す)の実 現のため、主として居住空間の温熱環境・エネルギー性能、建築耐久性の観点から、 外皮技術をはじめとする設計・技術に関する調査研究・技術開発と普及定着を図ることを目的とする。」
HAET20と日本の基準との相違点
あくまでも弊社の視点によるものですが、国土交通省が定める基準は、断熱基準(外皮熱還流率)をひとつの根拠として省エネ・創エネ効果(一時消費エネルギーの消費量)を主眼にし、低炭素社会の実現を目指しているものですが、一方、HEAT20は、断熱基準(外皮熱還流率)を基本に、環境の質を高めることを主眼とし、結果、省エネも実現するという住まいづくりを提唱しています。
過去の「我慢と節約の住宅」から「健康で快適な住宅」へという大きな流れがあります。
HEAT20のG3グレードでは、例えば、暖房期最低室温(OT)が「概ね16℃以下を下回らない」と指標の一つとしてが記されていますが、この(OT)とは体感温度のことです。
建物内の温度(体感温度)を指標にすることにより、室内で発生する結露を減らしたり、部屋間の温度差を少なくしたりすることにも着目されています。
これまで日本の基準では、「体感温度で指標を表現」することなど考えられませんでしたら、「快適な住まい」に対して真摯に向き合っていると思います。
HEAT20の断熱基準が、国の新しい断熱基準の指針に
令和4年10月に、新たな断熱基準、断熱等級6と7が創設されることになっています。
基準値(地域の区分5,6,7地域)は、断熱等級6が外皮熱還流率0.46W/㎡・K、断熱等級7は外皮熱還流率0.26W/㎡・Kとなっていますが、この基準はHEAT20の基準を参考にしたもので、大幅に断熱基準がレベルアップされてることになります。
今回、快適性能を主眼としたHEAT20の基準が参考にされて基準が加わることで、日本の住宅の快適性能も向上されているものと、期待したいところです。
今後、HEAT20に期待したいこと
HEAT20の正式名称には、「高断熱」という言葉はありますが、「高気密」ありません。
言葉の有無が問題ということではなく、自転車の両輪のごとくに大切な両者が、平等に扱われていないことが、「環境の質」を掲げる団体として、残念です。
断熱性能に注目する限りは、必ず「気密性能」の重要性にたどり着きます。
HERT20の設立記念セミナー「HEAT20気密TG活動報告」をユーチューブで拝見いたしました。
動画では気密性能実験などもご紹介されており、また、相当隙間面積の推奨値として、1.0c㎡/㎡以下が望ましいとも述べられていました。
一方、その動画の中で、日本の基準から相当隙間面積:C値の基準がなくなった理由として、以下のことが述べられていました。
1.すでに多くの住宅で基準値に達している。
2.設計段階で評価できない。実測するしかない。
上記のふたつの理由を紹介するだけにとどまったことに関しては疑問点もございますが、HEAT20として、気密性能にも着目していただいていることは事実です。
最後に、気密性能に関しては様々な難しいところがあるとは思いますが、今後、さらなる検証をいただき、住まいづくりの指標として示していただけることを期待いたします。