COLUMN 住まいのコラム
社長ブログより 「エアコン1台だけで全館空調ができるのはなぜ?」
前回、エアコンは対流を利用する空調機器だと書きました。
モコハウスではエアコン1台で全館を空調することが可能です。
ではなぜモコハウスでは一ヶ所につけた1台のエアコンだけで気流が直接届かない、
1階や2階の部屋まで設置された部屋と同じ温度にするのでしょうか。
暖熱・気密化された住宅では、暖房運転や冷房運転の開始時には、
温められた空気とまだ温められていない空気が建物の上下方向に循環移動します。
そして、その循環対流を繰り返すことによってエアコンの対流の届かない上下階や、
各室の温度が徐々に同じ温度になっていきます。
但し、この現象を生じさせるためには外皮に優れた断熱力と優れた気密性が必要です。
断熱の力が弱いと熱が逃げてしまいいつまでも溜まらず、
気密性能が悪いと折角の温めた空気や冷やした空気が漏れてしまいます。
(エアコンは設定温度に近づくとサーモスタットの働きで停止・運転を繰り返す省エネ運転となります。)
つまり建物内部は暖かい空気と冷たい空気が起こす対流現象によって徐々に同一温度化されて行くのです。
同時に室内の温熱や冷熱は強い断熱力を持つ外皮(内装石膏ボードetc)に蓄熱されていきます。
その蓄熱された外皮からの輻射熱によって、モコハウスでは建物内部全体どこに行っても
ほぼ同じ温度が体感できるようになる訳です。
つまり、1台のエアコンによる熱の対流によって、
建物全体に熱(暖or冷)の循環が始まりそれが結果的に建物全体を蓄熱させ、
それによって全館輻射冷暖房による空調を体感出来るのです。
この現象は今まで6棟の性能の異なるモデルハウスを建てて検証してきましたが、
2025年義務化予定の等級4(Ua値0.87W/㎡k)やZEH基準等級5(Ua値0.6W/㎡k)程度の性能では
その快適感を得ることはできません。
全館空調を感じられる快適さはやはり断熱等級7のHEAT20・G3基準(Q値0.26W/㎡k)程度が
必要なのかなと思います。
但し、各基準には隙間相当面積を示すC値の基準がありませんが、
Ua値の性能だけを満たしても隙間をなくさなければこの快適さを得ることできないことは
言うまでもありません。
断熱と気密は車の両輪と同じくらい重要です。