建物に隙間があると計画換気は不要なのか?
「建物に適当な隙間があると(計画)換気の必要がないのでは?」という考えをお持ちの方がおられるかも知れません。あるいは、「気流があるため1台の空調機からの温・冷熱が各室に届くのではないか?」という考えをお持ちの方もおられるかも知れません。実は、それらは全て違います。
隙間風による熱損失量の計算
先ず、ここでは次世代省エネ基準・Ⅳ地域(長野県以南)の隙間相当面積C値=5.0c㎡/㎡を基にお話します。現実的には、当地域の実態的なC値は5.0以上の住宅が多いと考えられますが、それらの建物は論外のため対象から外します。
隙間相当面積:C値=5.0の場合、その隙間風の具体的な量は、日本の平均風速を4m/秒した場合、建物全体の空気を1時間に0.5回入れ替えることに相当します。
ここで、参考までにその隙間風が暖房時に一体どれくらいの熱を損失するのかを計算をしてみましょう。
モコハウスのようにロフトがある延べ床面積39坪の住宅を例に取ると、その建物の空気の体積は≒340㎥ほどになります。そして冬の設定した室温と外気温度の差を20℃(=20K)と仮定します。因みに、空気の温度を1℃上げるために必要な熱量は0.00035kWです。
この仮定で計算した場合の隙間風のために建物が失う熱量は、0.00035kW/㎥K×340㎥×0.5(回)×20K=1.19kW/h、すなわち毎時1.19kW(金額換算で1時間当たり≒28円)の熱を逃がして(損失して)いることになります。
隙間風は計画換気にはならない
本題に戻り、隙間があれば換気の必要がないのでは・・・という疑問に関してですが、その隙間風が室内を通過する時の平均速度は、毎秒1cm程度しかありません。
加えて風の吹く向きは常に一方向ではなく、室内に浮遊するハウスダストや人体から出る炭酸ガスは室内で右往左往することとなり、部分的にしか空気の入れ替わりはありません。
つまり、隙間風では室内空気を清浄にする事が出来ず、隙間風=(計画)換気とはならないのです。
肝心な事は、建物の気密性を高めて(隙間をなくし)方向の定まらない隙間風の影響を受けることなく、新鮮な空気を決められた入口から採り入れ、決められた出口へ排出させることなのです。
つまり、常に一定の換気気流を作り、その気流に乗せて知らず知らずの内に汚染空気を排出する。これが正しい換気=計画換気なのです。
断熱性能と同等に重要な気密性能
繰り返しますが、正しい換気には気密性能が絶対的に必要となってくるのです。
因みにモコハウスではⅣ地域基準の50分の1、つまりC値:0.1c㎡/㎡と言う驚異的な数値を持っています。
これは換気のみならず、冷暖房効果を高め省エネを図る上でも重要な役割を果たしている事は言うまでもありません。
計画換気と熱の移動は別物
最後に、「1台の空調機から発生するの温・冷熱を換気の気流に乗せて「熱の移動」が図れないのか?」というご質問もありますが、0.5回/時の計画換気の量では、給気から排気まで≒2時間も要することになるため、とても熱を運ぶという効果は期待できません。
また、熱の移動気流を作るほどの換気をすれば、折角暖めた、または冷やした空気を家に貯めることなく排出してしまうことになる事がお解かりいただけると思います。要するに、計画換気と熱の移動とは別物と考えるべきなのです。
*0.5回の計画換気の起こす気流の速度は、先にも書きましたが、1cm/秒程度でなので人体に気流を感じる事はありません。人体が感じる体感気流は12cm/秒以上の場合です。










