
計画換気システムの考え方(その2)
省エネルギー住宅の総合力を高めることができない日本の家
日本では、地域ごとに住宅の省エネルギー基準値に地域格差(Ⅰ地域の北海道からⅤ地域の沖縄まで)を設けています。
それは、国土が南北に細長い領土を持ち、冬の寒さや夏の暑さ等その期間の長さや環境の厳しさが異なるため、1980年当時、全国的に住宅の省エネルギー基準値を画一的に定めることに少し無理があると考えられたためでしょう。
とにかく、手早く日本の住宅の省エネルギー化の底上げをするための手順としては、ある意味、今の地域区分を考えた省エネルギー法は理解することができます。
しかしながら、いまや省エネルギー法は告示以来30年という長い年月を費やし、今では地球温暖化の問題が新たに加わりました。
一方では、人口密度の高い地域により多くの住宅が建設されることは当然であること、そしてその人口密度の高い地域が省エネルギー法で示される比較的緩やかな「Ⅳ地域基準値」であることが、結果的に省エネルギー法の考え方あるいは重要性を曖昧にしていることも事実でしょう。
特に大きな問題としては、地域ごとの断熱抵抗値の基準値レベルはともかくとして、「外皮の気密化」と「計画換気の設計精度」が、現実に地域格差として問題があります。
それは、厳しい冬の気候風土を持つ北海道や北日本の工務店の方々が考える「隙間風の弊害」と、Ⅳ地域の工務店の方々が考える「隙間風の弊害」とでは大きなズレがあり、計画換気が機能するための「気密レベル」に気付こうとしない傾向があります。
■ 「0.5回分の機械換気量(法律で規定)+0.5回分の隙間風量が加算されては暖冷房運転の熱の損失は下記のような計算式になります。
例えば・・・
・述床面積132㎡
・平均的天井高さを2.4m
・外気気温を0℃
・室内の設定温度を20℃
とすれば、熱の損失量は・・・
=0.35W/㎥K×(132㎡×24m×0.5)×20K=1108.8W
すなわち、毎時1.1kwの熱損失をしていることになります。
もし、施工業者が「熱ロスの大きさ」に気付き、換気が機能する気密レベルの重要性を理解すれば、日本の省エネルギー住宅のレベルが大きく前進することになります。